「きみは愛されるため生まれた/きみの生涯は愛で満ちている」このクリスチャンソングを知らない方はおられないでしょう。
私とこの曲との出会いは、15年ほど前に韓国のオンヌリ教会牧師、故ハ・ヨンジュ牧師から招待された研修旅行に参加したときです。
行く先々で、この韓国語の歌を聴いて、良い賛美だなと思い帰国しました。すると、どうやら韓国人宣教師が日本の教会に紹介しているようで、日本の教会でも歌われ始めていました。ですがよく聴いてみると、それぞれの宣教師が訳しているので、少しずつ日本語訳が違うのです。
これでは日本には定着しない、公認訳を作らなくてはと思いました。まず一番譜面に合っていて歌いやすい歌詞を決め、その訳詞者を探しました。すると神明宏牧師とパク・チョンピル宣教師が訳したことが分かりました。すぐに韓国ソウルに戻って、作詞作曲者のイ・ミンソプさんにこの歌詞を公認訳と認めてもらい、日本の著作権管理の権利(現在はJASLAC)の書類にサインをいただいて帰国しました。 凄い雨と風のソウルで、日本で購入した100円傘が役に立たなくてビショビショになったことをよく覚えています。
帰国するとすぐに公認訳のCD製作に入りました。まず1曲を色々なアーティストが参加するコンピレーションアルバムに決め、新人の松本優香さんがメインアレンジで歌い、他に4名のアーティストの歌と演奏を入れた計5曲のアルバムを完成させて発売しました。このCDは今でも売れておりまして、おかげさまで、ほとんどの方がこの歌詞で歌ってくれています。
2005年12月29日には、日韓友好40週年記念として、交通事故で重度の火傷を負ったイーチソンさんの講演とあわせて、作詞作曲者のイ・ミンソプさんに来日していただき「きみは愛されるため生まれた Talk&Concert」を淀橋教会で行いました。
前日から予約の電話が殺到し、教会の椅子では足りなくなってレンタルで椅子を借り、当日は、開場時間前に人が並びすぎたため、交番から警察官が来るほどでした。
イーチソンさんの感動的なお証しの後、ギターを持ってイ・ミンソプさんが舞台に登場、割れるような拍手の中、彼は語り始めました。
『1997年にこの曲を作った時に、自分の心の中が愛で満たされていたわけでありません。家庭環境があまり良くなく、母に愛された記憶もなく、包丁を向けられたこともあります。 父というと靴下のことを思い出します。なぜなら小さい頃、父親に足で蹴っ飛ばされたことを覚えているからでしょう。ですから自殺願望があり、クリスチャンになってこの曲を作った後も、「自分は何も出来ない、惨めだ」と死にたくなることもありました。
ふと考えました。もし自分が死んだら、「あの曲を作った人が自死したらしいよ。あの曲は一体何だったの」とみんなが慌てるのではないかと。それで、踏みとどまることが出来ました。
ある晩一人で地下鉄に乗っていると、「イ・ミンソプ、私がお前を愛しているのは、お前が立派だからではない、ハンサムだからでもない、私が神でお前を創ったからだ。私が出来ないことはただ一つ、お前を愛することを諦めることだ」という神様の声が聞こえてきたのです』
そう語ると会衆に、「きみは」の所に自分の名前を入れて歌って欲しいと呼びかけ、日本語、韓国語で「きみは愛されるため生まれた」の大合唱となったのです。
きみは愛されるため生まれた
きみの生涯は 愛で満ちている
永遠(えいえん)の神の愛は
われらの出会いの中で実を結ぶ
きみの存在が 私には
どれほど大きな喜びでしょう
きみは愛されるため生まれた
今もその愛受けている
私たちは間違いなく、神に愛されています。
神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに世を愛された。 それは御子を信じる者が、一人として滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。
(ヨハネの福音書3:16)
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